家庭の省エネ化を積極的に勧める愛知県では太陽光発電のみでなく、HEMSや蓄電池などスマートハウス関連の補助金が整っています。2016年時点では年間約1万世帯が補助金制度を利用し、自宅の屋根にソーラーパネルを導入していました。太陽光発電の価格低下が進んだ昨今は、多くの都道府県が補助金制度を廃止していますが、愛知県においてはほとんどの市町村が県との協力の元、補助金事業を続けています。
こうした取り組みにより太陽光発電の普及が進む一方、今後の太陽光パネルの廃棄増加を見すえ、愛知県では「令和3年度愛知県循環型社会形成推進事業費補助金」を募集しました。その中で、太陽光パネルのリサイクルに関する事業の採択もあり、企業も先行して事業を始める動きが活発になってきています。
加山興業(名古屋市熱田区、加山順一郎社長)は、昭和27年の創業以来、廃棄物処理業者として廃棄物の適正処理、リサイクルに取り組んできました。この度、愛知県の循環型社会形成推進事業の補助金の採択を受けて、使用済み太陽光パネルのリサイクル事業に参入します。粒状の材料をパネルに吹き付けてガラスをはがす装置を導入し、2022年4月に稼働させることを目指します。
導入する設備に独自のふるい条件を採用し、他の素材の混入が少ないガラスを回収するため、リサイクルがしやすいといいます。吹き付けた粒状材料も繰り返し利用できる点も特徴です。
太陽光パネルは、ガラスと樹脂が強固に接着しているため、現状では使用済みの状態で粉砕し、埋め立て処分する場合が多いのですが、加山興業が導入する設備はガラスと他の素材を分離するため埋め立て処分を減らすことができます。太陽光パネルの処理能力は、年間約3万3000枚とのことです。処理後、ガラスやパネルに使われていた金属や樹脂は再資源化もできます。
また、同社はCO2排出量実質ゼロの電気を購入しているため、太陽光パネルのリサイクルによる排出を抑制することが可能です。
他にも、永一産商株式会社 (名古屋市港区)も同補助金制度で「循環ビジネス事業化検討事業」の「先導的な循環ビジネスの事業化の可能性の検討に関する事業」の枠で、採択をされています。廃太陽光パネル及び廃バッテリーのハイレベルリサイクルシステムによる再生利用検討を行います。
<参考資料>
大量廃棄が予想される太陽光パネル、再資源化の商機を狙え 2021年8月14日
令和3年度愛知県循環型社会形成推進事業費補助金の採択結果について 2021年7月30日更新