新見ソーラーカンパニー(岡山県新見市)は2009年設立されました。
ソーラーシステム販売、同製品開発、ネット通販事業等、太陽光発電関連の事業を展開しています。「美しい地球を次世代へ」という理念のもと、販売だけでなく、太陽光パネル廃棄問題に目を向けてこの課題を解決できる装置を開発してきました。
太陽光パネル廃棄問題とは、日本で2012年に固定価格買い取り制度(FIT)がはじまり、短期間で大量の導入が進んだ太陽光パネルが製品寿命を迎える2030 年代には、廃棄パネル量が拡大するとして懸念されていることをいいます。環境省の推計では「2030年代後半から年間50万~80万トン分が寿命を迎える」とされています。
従来の太陽光パネルのリサイクル法は下記のようなものがあげられます。
① ロール式破砕機でガラスの破砕・除去
② シュレッダーで破砕
③ ガラスとシリコンセルの間をホットナイフによって分離
課題としては、ガラス粉に異物混入したり、後工程として選別が必要といった点があります。
そこで、新見ソーラーカンパニーが開発した装置では、熱分解炉方式を使って、ワンストップで処理を行います。
<処理の流れ>
パネルは、表面のアルミフレームを外したパネルを4分割してA3判ほどの大きさにしておきます。
次に、長さ12m、幅2m、高さ1.5mの炉にパネルを挿入します。
電気による熱エネルギーで炉内温度を数百度の高温に引き上げます。
約15~20分程度加熱すると、接着剤とプラスチック材のバックシートが分解処理され、ガラス片、銅線、太陽電池のセル片等が残るという仕組みです。
セル片はシリコンの製造業者、加工会社を経て太陽光パネルや半導体のチップなどに再生するためリサイクル率が高いということです。
同装置のメリットを下記のようにまとめました。
<メリットまとめ>
・ワンストップ処理が可能
・業務効率が良い(通常5~8工程かかるものを4工程ですむ)
・二酸化炭素を排出せずに処理が完了する
・リサイクル率が高い(通常70%程度に比べて95%以上)
現在、国内の特許や国際特許に出願中で、中国実用新案登録も申請中ということです。
1台当たりの製作費は、1億5000万~2億円ほどかかるため、今後は、量産化を目指すべく、連携企業を募集していくとのことです。
参考URL:
新見ソーラーカンパニー、太陽光パネル 95%リサイクル 熱分解処理を開発
(2021年6月17日)