2021年9月2日、東京海上日動火災保険は、太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する商品を12月から販売することを発表しました。
当商品は、一般社団法人の太陽光発電協会(JPEA)が契約者、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)による認定事業者が被保険者となります。「廃棄費用の外部積立前や積立中における廃棄費用」、「太陽光発電設備の所有・使用・管理等や急増するサイバーリスクに備える賠償責任リスク」などを補償する保険制度の構築は業界で初めてとなります。
背景
太陽光発電事業者をめぐる環境やリスクは大きく変化しています。商品が開発された背景には近年の2つの動きがあります。
1つめは、近年増加する自然災害です。落雷や台風・竜巻などの自然災害による太陽光発電設備への被害に対する安全面の不安や、環境への影響等をめぐる地域の懸念が顕在化しています。
2つ目は、2020年成立の改正エネルギー供給強靱化法です。2022年7月より10kW以上の事業用太陽光発電事業者に対して、太陽光発電設備の廃棄費用の外部積立が義務化される予定です。また、2020年4月より「火災保険や地震保険等の加入の努力義務化」を定めるほか、「万一の賠償資力の確保」や「サイバーセキュリティ対策」が求められています。
商品概要
商品概要は以下の通りです。
◆加入対象者:設備容量10kW以上2000kW以下の事業用太陽光発電設備を所有する認定事業者。
◆基本補償
【廃棄費用】
補償内容:火災または落雷、風災、水災もしくは地震その他の自然災害などにより太陽光発電モジュールに損害が生じた場合に、発電規模の縮小または発電事業の廃止を目的として、太陽光発電設備を撤去する際の廃棄費用を補償。
補償額:設備容量1kWあたり1万円(最大1000万円)、地震リスクは1kWあたり2000円(最大200万円)。修理費用は対象外。
【施設賠償責任】
補償内容:太陽光発電設備の所有・使用・管理などに起因して対人・対物事故が発生した場合に、法律上の損害賠償金や見舞金を含む初期対応費用、事業継続費用などを補償する。◆補償額:1事故当たり賠償責任が1億円、初期対応費用・事業継続費用が1000万円。
◆特約
【サイバーリスク(特約)】
補償内容:制御システムや遠隔監視システムなどの発電システムへの不正アクセスなどに起因して情報漏えいや第三者の事業阻害などが生じた場合などに、法律上の損害賠償金や各種対応費用を補償。
補償額:1請求当たり賠償責任が1億円、事故対応費用が500万円となっている。
年間保険料例として、設備容量50kWの場合、基本補償の年間保険料は約17,000円となるということです。(太陽光発電設備が所在する都道府県や設備容量等によって異なります)
<参考URL>
【業界初】太陽光発電事業者向けの新たな保険制度の創設
~太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する新商品を発売~
東京海上日動火災保険株式会社 2021年9月2日
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/210902_02.pdf