2021年9月29日~10月1日、東京ビッグサイトにて「第1回 脱炭素経営 EXPO 秋」が開催されました。脱炭素経営 EXPOとは、コーポレートPPAや再エネ電力、エネマネ技術、ZEB/スマートビルや次世代空調などの企業向け脱炭素ソリューションが一堂に出展する商談展です。
そこで、出光興産100%子会社のソーラーフロンティアが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で進めている、低環境負荷と高マテリアルリサイクル率を実現する太陽光パネルのリサイクル技術開発に関する展示を行いました。
ソーラーフロンティアは、市場で主流のシリコン結晶太陽電池とは異なる、CIS薄膜太陽電池の製造販売を事業の中核としています。CIS薄膜太陽電池は、発電層に銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)という3つの元素を主に用いる太陽電池で、シリコンと比較して光を吸収する能力が高いため、発電層の厚さを約100分の1程度にできる特徴があります。
今回の展示の特徴は、「低環境負荷」と「高マテリアルリサイクル率」を両立したリサイクル技術です。リサイクルプロセスにおいて、低加熱温度で太陽光パネル表面にあるカバーガラスを分離できる独自のパネルセパレータ技術を活用します。機器などを使わずにガラス自体を取り外せる上、薬剤などを使用する必要がありません。廃棄物の総量を抑制できる上、エネルギー消費量と環境負荷の低減につながる可能性があります。
カバーを取り外したパネルは2軸粉砕機とディスク型破砕機で破砕し、接着剤を剥離させた上で、露出した物質を硝酸エッチングで溶解させることで、銀や銅、ガリウムなどの回収につなげます。この他、EVA(エチレン酢酸ビニール共重合樹脂)や基板ガラスなども選別して回収します。一連の分離回収プロセスを通じて、マテリアルリサイクル率90%以上の達成が可能になるといいます。
一方、2021年10月12日にソーラーフロンティアは太陽電池生産から徹底すると発表しました。背景には中国企業などが安価な太陽電池で市場シェアを広げる中、経営状況が悪化したことがあります。そこで、宮崎県の国富工場におけるCIS薄膜太陽電池の生産の撤退を決めたということです。
今後は発電所の設計・調達・建設(EPC)事業、O&M(運用保守)事業などを強化し、事業構造の転換を図るとしています。
ただ、アフターサービスや、エネルギーマネジメントシステムの実証・開発、O&M技術の開発、さらに太陽光パネルのリサイクル事業などの拠点として引き続き活用するということです。
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