2022年3月16日、日本アイ・ビー・エム野洲事業所の品質保証部門を母体に1993年に設立された株式会社アイテス(本社:滋賀県野洲市、代表取締役:五十嵐 靖行)は、ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社(本社:長野県駒ヶ根市、代表取締役:伊藤 敦)監修の下、ソーラーパネルの再利用の可否を簡易かつ迅速に選別する計測器 「リユースチェッカーRUC-100」を発表しました。
「リユースチェッカーRUC-100」は、ソーラーパネルの適切なリユースを実施するために発行されている環境省の「太陽電池モジュールの適正なリユース促進ガイドライン」に沿い、5つの項目を瞬時に計測し、正常作動性を自動で合否判定します。結晶系ソーラーパネルを対象とし、保守点検市場で普及実績がある同社のインピーダンス測定機「ソラメンテ-Z」の測定技術を応用、発展させた新しい計測器です。
ヒトのスキルに依存せず、低コストにてリユースと廃棄すべきソーラーパネルを迅速・容易に選別判断するツール
2012年に開始された再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)により大量のソーラーパネルが市場に導入されてきました。これらの内、一部は発電性能、安全性能低下を引き起こす故障や、自然災害等により寿命を待たずに廃棄されている実状があります。
それらの排出量や発生頻度は当初の想定を上回り、特に、昨今の大規模な自然災害の発生により、被災した太陽光発電所からは、寿命を迎えていない大量のソーラーパネルが適切な性能確認を経ず、廃棄物として扱われています。
国内ではこのようなソーラーパネルを廃棄・リサイクルするか、リユース品として再利用できるかどうかを、効率的かつ低コストで行う手段が無く、その多くが適切な選別工程を経ることなく処分されています。リユース可能であるにもかかわらず、産業廃棄物として処分されたり、リユースとして不適切なソーラーパネルが、海外へ輸出される不適正輸出も実際に発生しています。
現在、脱炭素化社会(カーボンフリー)・循環型社会形成(3R)への移行が、国策として進められています。また、今後さらに再生可能エネルギーの需要が高くなる一方、ソーラーパネルに使用される半導体不足やメタルショックといった資源の枯渇問題により、新品ソーラーパネルの価格が高騰しつつあります。こういった観点から、リユース・リサイクルへの期待が高まりつつあります。その一方で、国内でのソーラーパネルのリユースは、リサイクルと事業面で比較すると、市場はまだ黎明期にあります。
このような環境下にて、現時点で先進的にリユースソーラーパネルの選別を開始されている事業者では、ソーラーシミュレータによる性能測定、EL測定、絶縁湿潤試験など、本来は製造工場の出荷工程で行われる大掛かりで高額な装置を導入し、多大な時間とコストをかけた手法によって選別されているのが実状です。
これらの現状を踏まえ、専門知識が無くても、簡単に短時間でリユース可能なソーラーパネルを見分けるツールとして市場に投入することにより、従来よりはるかに低コストでリユースソーラーパネルの流通を促進することが可能になります。リユースソーラーパネルの知見と実績を有するネクストエナジー・アンド・リソース株式会社の監修の下、アイテスの検知技術を投入し、リユースチェッカーRUC-100を開発しました。
5つの項目を計測して○☓判定
従来のソーラーシミュレータやEL画像測定機など、高額かつ専門的な知見を必要とする大掛かりな手法に対し、、コスト・時間を最小限に抑えながらも同等以上に正確にパネルの選別が行えることを商品コンセプトとしています。
リユースチェッカーRUC-100は環境省の「太陽電池モジュールの 適切なリユース促進ガイドライン」 に沿い、正常作動性を判断するために5つの項目を計測します。
・開放電圧
・短絡電流
・インピーダンス
・バイパスダイオード開放・短絡
・絶縁抵抗
これら5つの測定項目を総合的に自動判断し、液晶ディスプレイに○☓判定で表示することで、容易に選別判定が可能です。
保守点検市場で実績のあるインピーダンス測定
リユースチェッカーRUC-100は、太陽光発電システムの保守点検(O&M)市場では既にデファクトスタンダードとなりつつあるソーラーパネルの点検機器「ストリングチェッカー ソラメンテZ」の検知技術を応用、発展させ、開発しました。
「ソラメンテ」シリーズは、中・大規模太陽光発電所向けソーラーパネル、ストリング測定器として2012年に開発・販売を開始しました。
2022年2月末時点で累計販売台数が3,000台を超える実績と信頼をいただいています。
また2022年1月には、住宅・低圧発電設備向けの「eソラメンテ」が(一般財団法人)新エネルギー財団が主催する新エネ大賞の「商品・サービス部門」にて、最高賞である経済産業大臣賞(※.4)を受賞しました。
「リユースチェッカーRUC-100」は、数千万円するソーラーシミュレータを代表とする従来型性能評価機に対して100万円を切る価格となっています。
「リユースチェッカーRUC-100」は2022年3月16日に受注開始し、初年度販売台数1,000台を見込んでいます。
<参考URL>
https://www.solamente.biz/media2203/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000045831.html