前回の記事で、環境省の「資源循環×デジタル」プロジェクトの検討結果(2020年7月28日)の概要を述べておりますが、今回は、リサーチ結果を踏まえて実証候補となるうる具体的フィールドとしてあげられている「特定製品に関するリユース・リサイクルの一体的運営」についてより詳しく考えていきます。
これは、使用済の太陽光パネルの回収からリユース・リサイクルまでの一連の過程に情報システムを導入する実証です。
2012年のFIT開始を背景に、短期間で大量の導入が進んだ太陽光パネルが、製品寿命を迎える2030 年代には太陽光パネルが廃棄物として発生することが見込まれています。現在においても、施工不良や災害等によって一部で排出が始まっています。排出形態としては様々ですが、主に3点があります。①大規模な発電所の解体・リプレースに伴って一気に排出されるもの、②住宅等の屋根置きで建物解体時に建設廃棄物と一体で排出されるもの、③災害時の浸水被害等によって排出されるものです。
しかし、現状は、リユース可能なものも多くが最終的には破砕、埋立に回っていると考えられています。使用済のパネルが全て埋立処分に回ると仮定した場合、排出のピーク時には年間の産業廃棄物埋立処分量の数%を太陽光パネルのみで占めることになるという試算もあります。そこで、処理方法が固定化しないよう、「二次利用市場の大きさ」、「使用済パネルの発電能力」や、「含有する有害物質等の情報」などを前提とした上で、できる限りリユース・リサイクルを進めていくことが必要です。
そのような考え方の元、使用済太陽光パネルの効率的な回収システム、適切なリユース・リサイクルのデザインを目的とし、回収・リユース・リサイクルを一体型で実施するとともに、その過程について、より良い管理のための情報システムをゼロ導入する実証事業を検討しています。
<参考URL>
2020年7月28日『「資源循環×デジタル」プロジェクト 資源循環における情報プラットフォームの活用 検討結果取りまとめ【概要】』より抜粋