福岡県は、2021年7月6日に、全国初となる「廃棄太陽光パネルスマート回収支援システム」を開発したと発表しました。システムの活用により、点在する廃棄パネルを効率的(スマート)に回収、再資源化を図り、循環型社会を推進します。
太陽光パネルの廃棄の課題とは
PV発電施設導入容量で全国4位(平成29年3月末時点)の福岡県では、県内のピーク時の2036年と設定し、その年間排出量は「1万トン(Paypayドーム約25個分)を超える」と予想しています。
全国のモデルケースとなるべく、平成30年7月18日に福岡県太陽光発電(PV)保守・リサイクル推進協議会(以下、協議会)を設立しました。
協議会では、太陽光パネルの廃棄について、課題を以下のように整理しています。
- 効率的回収スキームが未確立⇒埋め立て処分(資源未循環)、不法投棄の懸念
- 有害物質情報が不明瞭である⇒埋め立て処理費の高騰、不法投棄の懸念
- (低圧事業者の)事業実態が不明であるため、点検・保守の実態が不明⇒リサイクル推進の障壁、放置による火災の恐れ
システムの概要
そこで、「廃太陽光パネルを効率良く回収・リサイクルするには、点検・保守事業者、産業廃棄物収集運搬業者、リサイクル事業者等と全体マネージメント機関が連携したスキームを作ることが必要」としています。
今回開発したスマート回収支援システムを利用することで、メンテナンス業者が廃棄太陽光パネルの保管情報をクラウド上に登録し、収運業者がルート回収を行い、PVリサイクル業者へ収運することが可能となります。
システムの流れとしては以下の通りです。
①各メンテナンス業者は、太陽光発電設備を保守・修理し、交換した廃棄太陽光パネルを持ち帰り一時保管します。
②各メンテナンス業者がソフトに登録した廃棄太陽光パネルの情報(保管量、保管場所、種類)は、クラウドを通じて各業者間で共有されます。
③収集運搬業者は、廃棄太陽光パネルが一定量保管されていることを確認したら、回収予定日をソフトに登録します。
④リサイクル業者は、収集運搬業者がソフトに登録した回収予定日・回収量を確認します。
⑤収集運搬業者は、各メンテナンス業者を効率的に回って廃棄太陽光パネルを回収し、回収された廃棄太陽光パネルは、リサイクル業者で適正にリサイクルされます。
システムのメリット
各セクターのメリットは以下のように整理されています。
<各メンテナンス業者>
収集運搬業者、リサイクル業者への手配を支援ソフトにより一元化して行える。(産業廃棄物の処理に必要な電子マニフェスト(管理票)の手続も一括で実施可能)
<収集運搬業者>
点在するパネルの保管場所・量などの情報を事前に把握し、回収ルートを最適化することで、収集運搬を効率化できる。ルートの自動検索機能で回収ルートが地図上に表示され、効率的に保管場所を回れるようになる。
<リサイクル業者>
まとまった量のパネルの搬入日時について見通しが立ち、業務を効率化できる。
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本システムの利用については、協議会への加入が必要となっています。福岡県では、スマート回収システムの利用促進のため、会員企業を随時募集しています。
◆参考サイト