脱炭素経営EXPOにて、ソーラーフロンティアが太陽光パネルリサイクル技術開発に関する展示

2021年9月29日~10月1日、東京ビッグサイトにて「第1回 脱炭素経営 EXPO 秋」が開催されました。脱炭素経営 EXPOとは、コーポレートPPAや再エネ電力、エネマネ技術、ZEB/スマートビルや次世代空調などの企業向け脱炭素ソリューションが一堂に出展する商談展です。

そこで、出光興産100%子会社のソーラーフロンティアが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で進めている、低環境負荷と高マテリアルリサイクル率を実現する太陽光パネルのリサイクル技術開発に関する展示を行いました。

ソーラーフロンティアは、市場で主流のシリコン結晶太陽電池とは異なる、CIS薄膜太陽電池の製造販売を事業の中核としています。CIS薄膜太陽電池は、発電層に銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)という3つの元素を主に用いる太陽電池で、シリコンと比較して光を吸収する能力が高いため、発電層の厚さを約100分の1程度にできる特徴があります。

今回の展示の特徴は、「低環境負荷」と「高マテリアルリサイクル率」を両立したリサイクル技術です。リサイクルプロセスにおいて、低加熱温度で太陽光パネル表面にあるカバーガラスを分離できる独自のパネルセパレータ技術を活用します。機器などを使わずにガラス自体を取り外せる上、薬剤などを使用する必要がありません。廃棄物の総量を抑制できる上、エネルギー消費量と環境負荷の低減につながる可能性があります。

カバーを取り外したパネルは2軸粉砕機とディスク型破砕機で破砕し、接着剤を剥離させた上で、露出した物質を硝酸エッチングで溶解させることで、銀や銅、ガリウムなどの回収につなげます。この他、EVA(エチレン酢酸ビニール共重合樹脂)や基板ガラスなども選別して回収します。一連の分離回収プロセスを通じて、マテリアルリサイクル率90%以上の達成が可能になるといいます。

一方、2021年10月12日にソーラーフロンティアは太陽電池生産から徹底すると発表しました。背景には中国企業などが安価な太陽電池で市場シェアを広げる中、経営状況が悪化したことがあります。そこで、宮崎県の国富工場におけるCIS薄膜太陽電池の生産の撤退を決めたということです。

今後は発電所の設計・調達・建設(EPC)事業、O&M(運用保守)事業などを強化し、事業構造の転換を図るとしています。

ただ、アフターサービスや、エネルギーマネジメントシステムの実証・開発、O&M技術の開発、さらに太陽光パネルのリサイクル事業などの拠点として引き続き活用するということです。

<参考URL>

ソーラーフロンティアが太陽電池生産から撤退、事業構造転換へ 2021年10月13日

脱炭素推進とセットで考えたい、低環境負荷の太陽光パネルリサイクル技術開発 2021年10月5日

浜田、2拠点目の太陽光パネル再資源化事業稼働。東西で受け入れ体制を整える。

総合リサイクル事業を手掛ける環境ソリューション企業の浜田(大阪府高槻市)は、グループ会社で鉄スクラップ加工販売を行うオカガミ(京都府八幡市)内に太陽光パネルリサイクルの専用工場を建設し、このほど本稼働させました。

太陽光パネルリサイクルの事業拠点としては、京浜島エコロジセンター(東京都大田区)に次ぐ2拠点目となります。

将来の大量廃棄問題に取り組むため、太陽光パネルのリサイクル事業を強化しています。

今回の太陽光パネルリサイクルの専用工場の稼働によって、東西に受け入れ体制を作ったことになります。

浜田社の処理フロー図
浜田社の処理フロー図 出典:株式会社浜田WEBサイト

<参考URL>

浜田 太陽光パネルリサイクル 京都の新工場稼働 2021年9月30日

業界初、東京海上から太陽光発電の廃棄費用を補償する保険商品が登場。

2021年9月2日、東京海上日動火災保険は、太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する商品を12月から販売することを発表しました。

当商品は、一般社団法人の太陽光発電協会(JPEA)が契約者、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)による認定事業者が被保険者となります。「廃棄費用の外部積立前や積立中における廃棄費用」、「太陽光発電設備の所有・使用・管理等や急増するサイバーリスクに備える賠償責任リスク」などを補償する保険制度の構築は業界で初めてとなります。

背景

太陽光発電事業者をめぐる環境やリスクは大きく変化しています。商品が開発された背景には近年の2つの動きがあります。

1つめは、近年増加する自然災害です。落雷や台風・竜巻などの自然災害による太陽光発電設備への被害に対する安全面の不安や、環境への影響等をめぐる地域の懸念が顕在化しています。

2つ目は、2020年成立の改正エネルギー供給強靱化法です。2022年7月より10kW以上の事業用太陽光発電事業者に対して、太陽光発電設備の廃棄費用の外部積立が義務化される予定です。また、2020年4月より「火災保険や地震保険等の加入の努力義務化」を定めるほか、「万一の賠償資力の確保」や「サイバーセキュリティ対策」が求められています。

 

商品概要

商品概要は以下の通りです。

◆加入対象者:設備容量10kW以上2000kW以下の事業用太陽光発電設備を所有する認定事業者。

 

◆基本補償

【廃棄費用】

補償内容:火災または落雷、風災、水災もしくは地震その他の自然災害などにより太陽光発電モジュールに損害が生じた場合に、発電規模の縮小または発電事業の廃止を目的として、太陽光発電設備を撤去する際の廃棄費用を補償。

補償額:設備容量1kWあたり1万円(最大1000万円)、地震リスクは1kWあたり2000円(最大200万円)。修理費用は対象外。

【施設賠償責任】

補償内容:太陽光発電設備の所有・使用・管理などに起因して対人・対物事故が発生した場合に、法律上の損害賠償金や見舞金を含む初期対応費用、事業継続費用などを補償する。◆補償額:1事故当たり賠償責任が1億円、初期対応費用・事業継続費用が1000万円。

 

◆特約

【サイバーリスク(特約)】

補償内容:制御システムや遠隔監視システムなどの発電システムへの不正アクセスなどに起因して情報漏えいや第三者の事業阻害などが生じた場合などに、法律上の損害賠償金や各種対応費用を補償。

補償額:1請求当たり賠償責任が1億円、事故対応費用が500万円となっている。

 

 

年間保険料例として、設備容量50kWの場合、基本補償の年間保険料は約17,000円となるということです。(太陽光発電設備が所在する都道府県や設備容量等によって異なります)

 

 

 

<参考URL>

【業界初】太陽光発電事業者向けの新たな保険制度の創設
~太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する新商品を発売~

東京海上日動火災保険株式会社 2021年9月2日

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/210902_02.pdf

業界初、東京海上から太陽光発電の廃棄費用を補償する保険商品が登場。

2021年9月2日、東京海上日動火災保険は、太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する商品を12月から販売することを発表しました。

当商品は、一般社団法人の太陽光発電協会(JPEA)が契約者、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)による認定事業者が被保険者となります。「廃棄費用の外部積立前や積立中における廃棄費用」、「太陽光発電設備の所有・使用・管理等や急増するサイバーリスクに備える賠償責任リスク」などを補償する保険制度の構築は業界で初めてとなります。

背景

太陽光発電事業者をめぐる環境やリスクは大きく変化しています。商品が開発された背景には近年の2つの動きがあります。

1つめは、近年増加する自然災害です。落雷や台風・竜巻などの自然災害による太陽光発電設備への被害に対する安全面の不安や、環境への影響等をめぐる地域の懸念が顕在化しています。

2つ目は、2020年成立の改正エネルギー供給強靱化法です。2022年7月より10kW以上の事業用太陽光発電事業者に対して、太陽光発電設備の廃棄費用の外部積立が義務化される予定です。また、2020年4月より「火災保険や地震保険等の加入の努力義務化」を定めるほか、「万一の賠償資力の確保」や「サイバーセキュリティ対策」が求められています。

 

商品概要

商品概要は以下の通りです。

◆加入対象者:設備容量10kW以上2000kW以下の事業用太陽光発電設備を所有する認定事業者。

 

◆基本補償

【廃棄費用】

補償内容:火災または落雷、風災、水災もしくは地震その他の自然災害などにより太陽光発電モジュールに損害が生じた場合に、発電規模の縮小または発電事業の廃止を目的として、太陽光発電設備を撤去する際の廃棄費用を補償。

補償額:設備容量1kWあたり1万円(最大1000万円)、地震リスクは1kWあたり2000円(最大200万円)。修理費用は対象外。

【施設賠償責任】

補償内容:太陽光発電設備の所有・使用・管理などに起因して対人・対物事故が発生した場合に、法律上の損害賠償金や見舞金を含む初期対応費用、事業継続費用などを補償する。◆補償額:1事故当たり賠償責任が1億円、初期対応費用・事業継続費用が1000万円。

 

◆特約

【サイバーリスク(特約)】

補償内容:制御システムや遠隔監視システムなどの発電システムへの不正アクセスなどに起因して情報漏えいや第三者の事業阻害などが生じた場合などに、法律上の損害賠償金や各種対応費用を補償。

補償額:1請求当たり賠償責任が1億円、事故対応費用が500万円となっている。

 

 

年間保険料例として、設備容量50kWの場合、基本補償の年間保険料は約17,000円となるということです。(太陽光発電設備が所在する都道府県や設備容量等によって異なります)

 

 

 

<参考URL>

【業界初】太陽光発電事業者向けの新たな保険制度の創設
~太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する新商品を発売~

東京海上日動火災保険株式会社 2021年9月2日

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/210902_02.pdf

埼玉県、住宅用太陽光パネル回収事業で解体工事業者や撤去工事業者などに参加を呼びかけ

前回、埼玉県の太陽光パネルの適正処理についての取り組み事例にて取り上げた、「住宅用太陽光パネル回収事業」が、9月に入り、埼玉県が解体工事業者や撤去工事業者などに向けて、同実証事業への参加協力を呼び掛けをはじめました。

 

同事業は、環境省の「令和3年度 脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業(太陽光パネルの収集・リユースおよび非鉄金属の回収に係る技術実証)」の委託業務で、幹事法人はイー・アンド・イーソリューションズ、共同実施者はネクストエナジー・アンド・リソースです。また、一部再委託先として一般財団法人・秋田県資源技術開発機構が参画しています。

 

住宅用などの小規模な太陽光発電所から散発的に不要物として発生する太陽光パネルについては、現在、正式な収集の受け皿がない状況です。また、不要物として発生する太陽光パネルがリユース品として活用できるかどうかについての基礎データも無い点が指摘されていました。そこで、住宅用太陽光パネル導入量が全国で2番目に多く、将来的に大量廃棄が見込まれることから、同県が、実証事業のフィールドに選ばれました。

 

不要となった住宅用太陽光パネルを県内4カ所の回収拠点において無償で引き取り、リユースが可能であるかの簡易検査や、効率的な運搬方法などを検討します。

 

回収を希望する事業者は、あらかじめ参加申込書を提出する必要があります。回収量は400枚で、住宅以外に設置されているパネル、外観から明らかに破損していることが分かるパネルは対象外ということです。申込書のダウンロードや、詳しい手続きの方法については、専用のWebサイトで確認できます。(https://www.jpvcollection.jp/index.html

 

回収期間は、12月31日までです。回収拠点は、松田産業(狭山市広瀬台)、サニタリーセンター(本庄市新井)、河野解体工業(久喜市下早見)、ワイエムエコフューチャー(草加市青柳)となっています。(図参照)

太陽光パネルの回収拠点詳細
太陽光パネルの回収拠点詳細 出典:埼玉県

 

<参考URL>

環境省令和3年度脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装化に向けた実証事業(太陽光パネルの収集・リユースおよび非鉄金属の回収に係る技術実証)

住宅用太陽光パネル回収事業がスタートします(令和3年12月末まで)掲載日:2021年8月2日

 

ネクストエナジーが、使用済み太陽電池モジュールのリユース・リサイクルに関する実証事業を開始

ネクストエナジー(長野県駒ケ根市)は8月11日、使用済み太陽電池モジュールのリユース・リサイクルに関する実証事業を開始すると発表しました。協力企業はイー・アンド・イー ソリューションズ(東京都千代田区)、丸紅(東京都千代田区)、三菱総合研究所(東京都千代田区)です。使用済み太陽電池モジュールの効率的な回収、適切なリユース・リサイクルを目的とした情報管理プラットフォームの構築を目指します。

事業概要

これは、環境省の「令和3年度資源循環に関する情報プラットフォーム実証事業」の公募により、採択を受けた内容です。

使用済太陽光パネルの効率的な回収、適切なリユース・リサイクルを目的とし、ブロックチェーン技術を活用して、使用済パネルの情報管理を行うプラットフォーム(以下、情報PF)を構築し、トレーサビリティや情報の非改ざん性の検証のための実証を行うものです。

具体的には、構築する情報PFにて太陽光パネル排出時からリユースに至るまでの取扱履歴、検査情報、リユース可否判断並びにリユース品の購入時に必要と考えられる情報を具備し、情報PFを構築することで法規制に則した使用済パネルの管理、デジタルプラットフォーム化、データの一元化/可視化を図ります。

期待される効果

情報管理PFにより使用済み太陽電池パネルの情報を適正に管理することが可能となり、リユース取引の活性化やリサイクル促進に寄与し、原材料の循環利用、産業廃棄物の埋立処分量の削減に繋がることが期待されます。

また、リユースパネルが新品太陽電池パネルの代わりに使われることにより、太陽電池パネル製造時に排出されるCO2排出量も削減され、環境面で多岐に亘る効果が期待できます。

令和3年度資源循環に関する情報プラットフォーム実証事業とは

ちなみに、「令和3年度資源循環に関する情報プラットフォーム実証事業」の公募概要とは以下の内容です。

環境省では、循環型社会と低炭素社会の統合的実現に向けて、資源循環分野におけるデジタル技術を用いた情報活用によるトレーサビリティ付与やコミュニケーションの促進機能に着目した、資源循環に関する情報プラットフォームの有効性を検証すること」を目的として公募を実施しています。

国内の資源循環においては、リユース品としての価値や、有用な金属等による価値を更に有効活用できる余地があると考えられ、主に回収・リユース・リサイクルに関する経済性や、技術的な課題などを改善する必要があるものの、使用済製品の機能、有用金属等の含有量、リサイクルの忌避物質などの資源循環に有用な情報をつなぐことで、更なる有効活用の可能性があります。

一方で、近年、AI、IoT、ブロックチェーンなどのデジタル技術が急速に進展しているところ、これらの技術はトレーサビリティや情報を元とした関係主体間のコミュニケーションの促進機能に大きな特性があります。こうしたデジタル技術を活用することで、情報のやりとりの拡大を通じて、使用済製品や有用金属等を国内で効率的に回収し、リユース・リサイクルの促進や、それに伴うCO2 削減につながることが期待されます。

 

<参考URL>

使用済み太陽電池モジュールのリユース・リサイクルに関する実証事業について2021.08.11

「令和3年度資源循環に関する情報プラットフォーム実証事業」の公募結果について 令和3年6月3日

欧州最大の太陽光パネルリファービッシュ企業 Rinovasol(リノバソル)が日本市場へ進出。

2021年7月26日、Rinovasol(リノバソル、本社 ドイツ)と、株式会社WQ(ダブルキュー、本社 東京都中央区)は、日本市場において株式会社Rinovasol JAPANを共同で設立し、太陽光パネルのリファービッシュ(リユース)事業を行うことを発表しました。

Rinovasolは、ヨーロッパ最大の太陽光パネル リファービッシュ企業です。太陽光パネルのリファービッシュを専門に国際的なネットワークを確立しており、既に約100万枚のパネルを再生、リファービッシュしています。

一方で、株式会社WQは再生可能エネルギーを利用した機器の販売、太陽光・風力の開発やIPPを中心に、新事業としてレストラン事業やVilla事業、農業や海外日本酒販売事業など幅広く手掛けています。

リファービッシュとは、一般的に、初期不良などで返品となった商品を修理・再整備し、通常品同等の品質に生まれ変わらせることです。消費者は、新品に比べて価格が安く、通常の中古品と比べて製品のコンディションが良いことや、保証が付く場合があるといったのメリットがあります。メーカーは初期不良品をそのまま廃棄すると、生産・流通・廃棄コストのすべてを負担することになりますが、不具合箇所を修理・調整した上で販売すれば、整備費用の負担だけで済むというメリットがあります。使える部品を再利用する環境に優しい取り組みといえます。

現状、出荷された太陽光パネルの約15%は何らかの原因で不良が発生していると言われています。損傷や、古くなったパネルが単に廃棄処分された場合、経済的損失と環境被害につながり、太陽光発電システム市場のさらなる発展が遅れます。

日本での再エネ普及率の増加は著しく、2012年の再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、太陽光発電システムは2019年に約60,000MWの設置容量を超えました。今後、交換や破棄はさらに起こると見込まれます。

日本市場では、故障や不良となった太陽光パネル回収後の一般的な取り扱いは、大部分を廃棄しています。それに対し、Rinovasolのソリューションは回収したパネルを修理・改修して再度製品として出荷します。それにより、通常は廃棄する際に発電所オーナー側が費用を負担しなければならないところ、Rinovasolは太陽光パネルを買い取ることを実現しています。

既に日本で約2,000枚の太陽光パネルをリファービッシュした実績があります。

Rinovasolの創業者Josef Gmeinerは、「モジュールの需要は今後も長期的に続き、膨大な量の廃棄物を回避するには、新しいソリューションが必要不可欠である」と話しています。

<参考URL>

ヨーロッパ最大の太陽光モジュール リファービッシュ企業RINOVASOL 日本法人設立

(2021年7月26日)

全国初、福岡県でPVリサイクルネットワークシステムを開発

福岡県は、2021年7月6日に、全国初となる「廃棄太陽光パネルスマート回収支援システム」を開発したと発表しました。システムの活用により、点在する廃棄パネルを効率的(スマート)に回収、再資源化を図り、循環型社会を推進します。

太陽光パネルの廃棄の課題とは

PV発電施設導入容量で全国4位(平成29年3月末時点)の福岡県では、県内のピーク時の2036年と設定し、その年間排出量は「1万トン(Paypayドーム約25個分)を超える」と予想しています。

全国のモデルケースとなるべく、平成30年7月18日に福岡県太陽光発電(PV)保守・リサイクル推進協議会(以下、協議会)を設立しました。

協議会では、太陽光パネルの廃棄について、課題を以下のように整理しています。

  • 効率的回収スキームが未確立⇒埋め立て処分(資源未循環)、不法投棄の懸念
  • 有害物質情報が不明瞭である⇒埋め立て処理費の高騰、不法投棄の懸念
  • (低圧事業者の)事業実態が不明であるため、点検・保守の実態が不明⇒リサイクル推進の障壁、放置による火災の恐れ

システムの概要

そこで、「廃太陽光パネルを効率良く回収・リサイクルするには、点検・保守事業者、産業廃棄物収集運搬業者、リサイクル事業者等と全体マネージメント機関が連携したスキームを作ることが必要」としています。

今回開発したスマート回収支援システムを利用することで、メンテナンス業者が廃棄太陽光パネルの保管情報をクラウド上に登録し、収運業者がルート回収を行い、PVリサイクル業者へ収運することが可能となります。

廃棄太陽光パネルスマート回収システム 出典:福岡県

システムの流れとしては以下の通りです。

①各メンテナンス業者は、太陽光発電設備を保守・修理し、交換した廃棄太陽光パネルを持ち帰り一時保管します。

②各メンテナンス業者がソフトに登録した廃棄太陽光パネルの情報(保管量、保管場所、種類)は、クラウドを通じて各業者間で共有されます。

③収集運搬業者は、廃棄太陽光パネルが一定量保管されていることを確認したら、回収予定日をソフトに登録します。

④リサイクル業者は、収集運搬業者がソフトに登録した回収予定日・回収量を確認します。

⑤収集運搬業者は、各メンテナンス業者を効率的に回って廃棄太陽光パネルを回収し、回収された廃棄太陽光パネルは、リサイクル業者で適正にリサイクルされます。

システムのメリット

各セクターのメリットは以下のように整理されています。

<各メンテナンス業者>

収集運搬業者、リサイクル業者への手配を支援ソフトにより一元化して行える。(産業廃棄物の処理に必要な電子マニフェスト(管理票)の手続も一括で実施可能)

 

<収集運搬業者>

点在するパネルの保管場所・量などの情報を事前に把握し、回収ルートを最適化することで、収集運搬を効率化できる。ルートの自動検索機能で回収ルートが地図上に表示され、効率的に保管場所を回れるようになる。

 

<リサイクル業者>

まとまった量のパネルの搬入日時について見通しが立ち、業務を効率化できる。

 

=========

本システムの利用については、協議会への加入が必要となっています。福岡県では、スマート回収システムの利用促進のため、会員企業を随時募集しています。

 

 

◆参考サイト

全国初!「廃棄太陽光パネルスマート回収システム」を開発しました!2021年7月6日

福岡県リサイクル総合研究事業化センター

福岡県太陽光発電(PV)保守・リサイクル推進協議会

愛知県の加山興業、独自の設備で太陽光パネルのリサイクル事業に参入

家庭の省エネ化を積極的に勧める愛知県では太陽光発電のみでなく、HEMSや蓄電池などスマートハウス関連の補助金が整っています。2016年時点では年間約1万世帯が補助金制度を利用し、自宅の屋根にソーラーパネルを導入していました。太陽光発電の価格低下が進んだ昨今は、多くの都道府県が補助金制度を廃止していますが、愛知県においてはほとんどの市町村が県との協力の元、補助金事業を続けています。

こうした取り組みにより太陽光発電の普及が進む一方、今後の太陽光パネルの廃棄増加を見すえ、愛知県では「令和3年度愛知県循環型社会形成推進事業費補助金」を募集しました。その中で、太陽光パネルのリサイクルに関する事業の採択もあり、企業も先行して事業を始める動きが活発になってきています。

 

加山興業(名古屋市熱田区、加山順一郎社長)は、昭和27年の創業以来、廃棄物処理業者として廃棄物の適正処理、リサイクルに取り組んできました。この度、愛知県の循環型社会形成推進事業の補助金の採択を受けて、使用済み太陽光パネルのリサイクル事業に参入します。粒状の材料をパネルに吹き付けてガラスをはがす装置を導入し、2022年4月に稼働させることを目指します。

導入する設備に独自のふるい条件を採用し、他の素材の混入が少ないガラスを回収するため、リサイクルがしやすいといいます。吹き付けた粒状材料も繰り返し利用できる点も特徴です。

太陽光パネルは、ガラスと樹脂が強固に接着しているため、現状では使用済みの状態で粉砕し、埋め立て処分する場合が多いのですが、加山興業が導入する設備はガラスと他の素材を分離するため埋め立て処分を減らすことができます。太陽光パネルの処理能力は、年間約3万3000枚とのことです。処理後、ガラスやパネルに使われていた金属や樹脂は再資源化もできます。

また、同社はCO2排出量実質ゼロの電気を購入しているため、太陽光パネルのリサイクルによる排出を抑制することが可能です。

他にも、永一産商株式会社 (名古屋市港区)も同補助金制度で「循環ビジネス事業化検討事業」の「先導的な循環ビジネスの事業化の可能性の検討に関する事業」の枠で、採択をされています。廃太陽光パネル及び廃バッテリーのハイレベルリサイクルシステムによる再生利用検討を行います。

<参考資料>

大量廃棄が予想される太陽光パネル、再資源化の商機を狙え 2021年8月14日

令和3年度愛知県循環型社会形成推進事業費補助金の採択結果について 2021年7月30日更新

 

NEDO「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」の概要について

NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の2014年度~2018年度に行われた「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」の概要を整理します。

背景及び事業目的:

①固定価格買取制度の下で想定されている廃棄処理費用はシステム価格の5%(※)。この範囲内で処理できる技術の確立が必要。システム価格は約30万円/kW程度で推移しているため、廃棄処理費用は 1.5万円/kW(15円/W)程度に相当。※他に土地造成費、系統連系費も含むが、割合は小さい。

②使用済み太陽光発電システムのリサイクルには、リサイクル処理費用の他に、回収費用やシステムの撤去費用などが発生。リサイクル処理費用、回収費用、撤去費用がそれぞれ同程度と仮定すると、リサイクルにかかる費用の総額を現在の廃棄処理費用と同レベルに保つためには、リサイクル処理費用は約5円/W以下とする必要がある

③太陽電池モジュールは長期間の使用に耐えられるように封止剤で固めた非常に強固な構造。リサイクル時は封止材の分離・除去が最も困難。今後、太陽電池モジュールの大量廃棄により、産業廃棄物の最終処分場はひっ迫され、これを解消するためには、資源の有効利用を図る必要あり。

事業・プロジェクト概要:

事業期間:

平成26年度~平成30年度 (2014年度~2018年度 5年間)

予算:

平成30年度  1.1億円(5年間で10.2億円)

概要:

太陽光発電は、下記のような経緯で成長し、今後もさらに大幅な普及拡大が見込まれます。

・平成10年(1998年)に住宅用太陽光発電システムの国内導入件数が1万件に到達

・平成16年(2004年)に国内累積導入量1GWを達成

・平成24年(2012年)には住宅用太陽光発電システムの国内導入件数が100万件を突破、7月の再生可能エネルギーの固定価格買取制度開始によって導入はさらに加速

・平成26年2月には累積導入量も13.5GW到達

 

一方、大量導入が実現すると、使用済みの太陽光発電システムが大量発生することが予想され、太陽光発電の健全な普及拡大には、使用済みのシステムを適正に処分可能な手段を確保することが重要です。

 

また、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の附帯決議において、「耐用年数経過後において大量の廃棄物の発生を防ぐ観点から、設備のリサイクルシステム構築等、早急に必要な措置を講ずること」が求められています。

 

このような状況に対して、NEDOでは、太陽光発電設備のリサイクル社会の構築に向け、廃棄物の大量発生の回避を低コストに実現する技術として、使用済み太陽光発電システムのうち、分解処理が困難である太陽電池モジュールの低コスト分解処理技術を確立するとともに、撤去・回収・分別・リユース関連技術などについて課題と対策を検討することを目的とし、以下の研究開発や調査を実施します。

 

◆研究開発項目〔1〕「低コスト撤去・回収・分別技術調査」

使用済み太陽光発電システムの撤去コストや回収コスト、分別コストを低減する低コスト撤去技術、低コスト回収技術、低コスト分別技術について、実現可能性や有効性を検証し、課題や目標コストを明確化します

 

◆研究開発項目〔2〕「低コスト分解処理技術FS(開発)」

太陽電池モジュールをガラスや封止材、金属類などに分解する工程に関して、様々な太陽電池モジュールを対象とした低コスト汎用分解処理技術に加え、結晶シリコン太陽電池や薄膜系太陽電池など、太陽電池モジュールの種類に応じた専用の分解工程とすることでさらなる分解コストの低減を図る低コスト分解処理技術を開発し、処理コストを明確化します。

また、太陽電池モジュールを分解することで回収される有価物について、リサイクルコストの低減に寄与するため、有価物の回収率向上や、価値が高い状態での回収を可能とする、有価物高付加価値化技術を開発し、処理コストの低減効果を明確化します。

 

◆研究開発項目〔3〕「低コスト分解処理技術実証」

上記の研究開発項目〔2〕で目標処理コストの達成目処や、十分なコスト低減効果が確認された技術については、コスト低減効果を実証します。

最終目標:低コスト汎用分解処理技術、低コスト専用分解処理技術を適用した試作プラントを構築し、分解 処理コスト5円/W以下(年間200MW処理時)を実証する。

成果:分解処理方法として、粉砕+色彩選別法、ホットナイフ法、パネルセパレータ法、熱分解法を開発した。すべての処理方法で、年間200MW処理時の分解処理コスト5円/W以下を実証した。

 

◆研究開発項目〔4〕「太陽光発電リサイクル動向調査」

太陽光発電システムの適正処分に関わる国内外の技術開発動向、普及動向、政策動向、実施事例などを調査します。

また、国内の太陽光発電システムの分布調査を行い、分布に基づいた排出量予測を行います。さらに、上記の研究開発項目〔1〕~〔2〕を横断的に評価する手法についても検討を行います。

最終目標:国内の太陽光発電システム導入分布を考慮した排出量予測をまとめる。国内外の各種動向を調査し、本プロジェクトへのフィードバック情報をまとめる。

成果:最新の技術動向を俯瞰的に整理した「開発戦略マップ」を作成した。排出量推計モデルを構築す ると共に排出量推計の精緻化を実施し、経済産業省から公表した。海外諸国におけるリサイクル 技術の開発動向を継続的に調査し、状況を把握した。リサイクル技術の評価手法を検討し、本プ ロジェクト下で実施されている「低コスト分解処理技術実証」の各テーマを対象とした環境性、社会性の評価を実施した。

 

◆研究開発項目〔5〕「使用済み太陽電池モジュールの低コストリユース技術の開発」

使用済み太陽電池モジュールを低コストにリユースできる技術を開発します。

最終目標:使用済み太陽電池モジュールの回収・運搬、分別、修復コスト180円/枚を達成する技術を開発する(使用済み太陽電池モジュールの大量発生が見込まれる2030年)。

成果:太陽電池モジュールの低コスト修復技術を開発し2030年に180円/枚以下の達成の可能性を見出 した。太陽電池モジュールのリユースの評価方法を確立し、2030年に180円/枚以下を達成できる 低コスト化を見通せることができた。

実用化・事業化に向けた戦略:

・「低コスト分解処理技術実証」については、分解処理法として、粉砕+色彩選別法、 ホットナイフ法、パネルセパレータ法、熱分解法を開発し、実証プラントを構築して分解処理コストを試算したところ、年間200MW処理時でNEDO目標の5円/W以下 を達成

・プロジェクト終了後、使用済み太陽電池モジュールの発生量に応じて、本リサイクル処理システムで事業を実現が可能。排出量予測では、200MWを超える排出量 は2030年ごろと推計。 NEDOとしては今後の事業において、実プラントスケールの実証や再生ガラスの用途開拓等を通じて支援する予定。

・「使用済み太陽電池モジュールの低コストリユース技術の開発」については、低コスト修復技術を確立し、2030年頃に修復をリユース事業者に委託するというケースでコスト試算を行い、NEDO目標である180円/枚の達成の可能性を見出した。 また、リユース技術を確立すると共に低コスト化を実現するための高速測定を開発。2030年に向けて、分別処理時間の更なる短縮、光熱水費の削減、労務費の削減を進めて行くことで、NEDO目標である180円/枚の達成を見通せた。

以上の通り、成果の実用化・事業化の道筋は明確である

事業の波及効果:

・太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクトを推進したことにより、従来普及が進まなかかったリサイクル分野に対して、低コスト分解処理技術の可能性を示したことで、事業化が促され、多くの産業廃棄物処理業者の参入により、市場を活性化させ、資源の有効活用を促進させる効果があると見込まれる。

・また、太陽電池モジュールの排出は2030年代半ば以降、大量に発生するが、リサイ クル技術の実用化により、最終処分となる埋立廃棄物量を最小限にとどめることや ガラスを中心とした再生品の活用が見込まれる。

・本プロジェクトで報告された太陽電池モジュールの排出量見通しによれば、排出量のピークは2035~2037年頃で、年間約17~28トン程度となる。ここで、ピーク排出量が約17万トンとなるシナリオに対し、リサイクルによる埋立廃棄物削減率(再資源化、 二次利用、熱回収含む)を90%とすると、排出量のピーク時には約16万トンの埋立廃棄物が削減され、その後も12万トン/年以上の埋立廃棄物が削減される。そして、 2030年から2050年にかけて削減される埋立廃棄物の合計(累積量)は約380万トンと見込まれる。

 

<参考資料>

太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト 最終更新日:2019年4月25日

研究評価委員会「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」(事後評価)分科会 2019年12月5日