オーストラリアのビクトリア州では、太陽光パネルのリサイクルシステムの構築が積極的に進んでいます。直近の動きをまとめました。
太陽光パネルの無料回収の取組みが開始
オーストラリアのビクトリア州、ベンディゴ市は、太陽光パネルのリサイクルを手がけるSolar Recovery Corporation社と共同で、ソーラーパネルを無料で分別・リサイクルする専門のドロップオフポイントを設置することに合意しました。
Solar Recovery Corporation社は、ヨーロッパ市場で12年間、99%以上の材料回収率をあげており、特許取得済みの技術により、細断、破砕、湿式冶金、化学薬品、熱処理、または熱分解を使用せずに、あらゆるタイプのパネルから材料を回収しています。まずは機械がアルミニウム フレーム、ジャンクション ボックス、およびケーブルをソーラー パネルから分離します。次に自動化されたロボットが解体と選別の責任を果たします。このプロセスで通常回収される材料は、プラスチック、シリコン、ガラス、銅、アルミニウムです。
現在、ソーラーパネルのほとんどは最終的に埋め立てられますが、Solar Recovery Corporation社の独自プロセスにより、ソーラーパネルの循環経済を形成する可能性があるということです。
今回、ドロップオフポイントを導入にすることにより、廃棄したいソーラーパネルを持っているベンディゴ住民は無料で廃棄することができるようになります。
ただ、もう一つ課題があります。それは、将来、埋め立て地のソーラーパネルが問題にならないように連邦政府レベルの指令はありますが、廃棄されたパネルのかなりの部分がまだ耐用年数が残っていることです。そのために中古ソーラー市場をサポートするための基準を開発中とのことです。
太陽光パネル廃棄問題のための新しい技術開発へ
2022年9月30日、Breakthrough Victoriaは、太陽光パネルの廃棄物を削減するための革新的なソリューションに投資することを目的として、1,000万ドルの太陽光廃棄物チャレンジを開始しました。Breakthrough Victoriaはビクトリア州政府が研究、イノベーション、商業化への投資を促進するために設立した 20 億ドルの基金を管理する組織です。
2021年以降、オーストラリア全土に300万を超える太陽光発電システムが設置、そのうち60万基がビクトリア州に設置されたことにより、2035年までに187,000トンの太陽光発電廃棄物を排出することが予想されています。
そのため、このチャレンジでは、ソーラーリサイクルによるクリーン経済を促進させ、埋め立て地の太陽廃棄物を削減することに焦点を当てます。
エネルギー大臣であるリリー・ダンブロージオ氏によると
「現在、ソーラー パネルの廃棄物を管理およびリサイクルするための選択肢は限られていますが、使用できなくなったパネルから貴重な材料を回収し、新しい製品や市場を開拓する機会が増えています。」
とのことです。
また、Breakthrough Victoriaのグラント・ドゥーリー最高経営責任者(CEO)は
「Breakthrough Victoria Challenge は、科学、技術、インフラストラクチャの各分野にわたるソーラーとリサイクルの専門家が、ソーラー パネルの廃棄とリサイクルの価値を解き放つための創造的なソリューションを探すことを奨励しています。」
「寿命を迎えたソーラーパネルは、業界が直面している循環経済の課題を体現していますが、廃棄物の流れを商品に変え、ソーラーパネルのリサイクル業界にとって強力な市場を生み出す機会でもあります。これは、ビクトリア州で商業的に実行可能なソーラーパネルのリサイクルシステムを加速し、拡大するための最初のステップです。」
と述べています。
<参考URL>
Solar Recovery Corporation delivers free solar panel recycling scheme for Greater Bendigo residents
Victoria tips in $10 million to tackle solar panel waste challenge